投稿者 oshare-club : 13:07
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「金工:布目象嵌」 鹿島和生
象嵌鉄鉢 「響」
「布目象嵌ではまず地金に目切りをつけることから作業がはじまります。地金に目切を付けるのは、鏨を小さな金槌で打って切っていきます。どの程度の細かさの刻みを付けるかはデザインによりますが、1センチの間に数十本の刻みをつけるのが普通です。
布目象嵌での目切では、鏨を金槌で打つのではありません。端から見ていると金槌で打っているように見えますが、上から金槌を落としているといった感覚なのです。金槌を打つときの力の入れ具合は常に同じで、金槌の重さで目切に変化をつけるのが布目象嵌のコツなのです。
■布目象嵌について
(山口弘明著「現場の知恵が会社を強くする」日本経済新聞社から抜粋)
現在、布目象嵌を作品に用いる作家は多勢おりますが、一言で布目象嵌といっても、それぞれ全部個性があり、各々が自分流の布目をしているというのが現状だと思います。
本象嵌と違い箔を付けるために刻む布目のひと打ち、ひと打ちが作品の表面に出てくる布目象嵌は、それ故、作り手の感性が如実に現れる技法だといえます。
布目には細か目もあれば荒目もありますが、細か目が切れれば、いつでも荒目は切れます。私はあくまで細か目が基本であると思っています。多くの作家が一通りの表現手段としてしか布目象嵌を使っていませんが、この技法にはもっと無限の可能性があると思っています。
華葉文接合四方鉢
布目象嵌は手間賃より金の価格が高かった時代に本象嵌より金が少量ですむ象嵌技法としてもてはやされたため、目はあくまで細かく切り、切った目が見えないで、本象嵌と見まごう位にするのが良いとされていましたが、現代ではデザイン重視で荒目には荒目の良さがあると認容されるようになりました。
ただ細かく切れないために荒目になりデザインで逃げるのでは単に技術が未熟なだけで、デザイン的に荒目の方が良いとして意図的に荒目を切るのとは根本的に違うと思います。「布目には荒目、細目はあっても雑目はない。」というのが私のこだわりです。
日本における布目の源流とも言うべき肥後象嵌が京都、江戸へと伝わり、鹿島の初代が創始した鉄以外の母体(四分一や赤銅)に細かく千度目を切る鹿島布目が誕生しました。
私は、この鹿島布目を基本とし、その応用技である荒い布目や研ぎ出し鎖盛といった技法を併用し、デザインの幅を広げて行きたいと思っています。
表現者であり、技術者でもある我々金工作家にとって多様性に富むこの布目象嵌という技法はとても魅力あるものだと思っています。



「略歴」1958年 東京生まれ
祖父鹿島一谷(1979年重要無形文化財保持者認定)に師事
1980年より日本伝統工芸展出品
伝統工芸日本金工展出品「文化庁長官賞」他受賞6回、鑑審査委員1回
1981年より伝統工芸新作展出品「日本工芸会東日本支部賞」他受賞2回、鑑審査委員2回
財団法人美術工芸振興佐藤基金第11回淡水翁賞受賞
2000年 個展(日本橋三越)
現代の「日本金工」展出品(デンマーク王立工芸博物館)
個展(日本橋三越)
日本工芸会正会員 日本工芸会金工部会幹事、金沢美術工芸大学非常勤講師
注 ご入用の方は、「お問い合わせ」ページからメールにてお問い合わせください。