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飯田線の旅の出会い

自分の時間を取り戻したくて飯田線の旅に出かける。全長195.7km、94駅をのん

びりと6時間かけて走るのがローカル飯田線の旅の真髄なのだが、それは次回にしよう。

六月半ばの車窓から眺める伊那路は、もう初夏の装いである。田んぼの苗が青々としっか

り背を伸ばし始めている。ワンマンカーのため、下車は一両目の先頭扉だけ。運転手が

一旦席を離れ、降りる乗客のため応対する姿が優しい。おばあさんがゆっくりと通路を

歩いてくるのをじっと待っている。伊那松島駅で降りると駅前に静かな佇まいの和装専門店
が目にとまる。中箕輪は、難所といわれた飯田街道の街道町。和紙の灯りにひきつられて
店に入ると、きれいに染めた包、器、帯止めなど小物が黒塗りの和箪笥に並んでいる。

落ち着いた内装に不思議な空間を覚える。「京屋」は染と織の老舗(文政元年創業)。

ご主人の関嘉重(がじゅう)さんは四代目で日本の古層探索が趣味の気さくな人。

戴いたお茶が心にしみる。

飯田線の旅の出会いに自分の時間を感じる瞬間である!

投稿者 oshare-club : 11:21 | トラックバック

飯田線の旅と安野光雄の世界

雪を抱いた北岳と南アルプスを遠望にして、たんぽぽが咲く伊那谷の田んぼをのんびりと走るのが飯田線である。一人静、クマガイソウ--のびのびと育つ野草を眺め、水の流れを
聴き、爽やかな風を感じると、いつのまにか自分を発見する。明るいガーデンにたたずむ
初老の旅人がベンチに座っていつまでも木々を眺めている。

こんな風景を描くのが安野光雄さんである。安野光雄の世界は、明日香の田舎を美しいと思う遺伝子的感性を子供のころから受けついできたものに想像力と創造力を加えたイマジネーションが描くという。三椏を描く、こぶしを描く、ためつすがめつ 見る。「和の心、日本の美しさ」は、太古より自然の中で育まれてきたもので、機械文明ではない。

京都法然院の椿は紅白斑入りが美しい。しかし絵に描いてみると野に咲く藪椿の方が
はるかに美しい。カタクリ、アツモリ草、クマガイ草、一人静--野草は一見貧相だが、
絵に描くと断然美しい。こういう安野光雄の風景を見ていると、飯田線で時を忘れた
のんびり旅を思い出す。
hanaoka