2008年07月21日
いいものほど味はシンプル
ー洞爺湖サミットの醤油ー

駄洒落ライバル・松本市の大久保醸造の大久保丈晴さんは、ガンコに創業103年の醤油づくりの伝統を守る。しかし、工場内は一部ソーラー発電。「風の道」も計算に入れた造り。地下には数トンの炭を埋め込んでいる等さまざまな工夫がこらされている。
醤油は、「醗酵・熟成を麹菌や酵母などの微生物だけで行う、最も伝統的な製法「本醸造方式」によって造る。人工的な温度調整を行ったり、添加物を加えることなく、松本の気候に委ねじっくり、ゆっくり育てる。完成までに1~3年かかる。
生産効率を図るメーカーは、「適温醸造方式」で6~8ヶ月で出荷する。
加熱した大豆に香煎(煎った小麦を砕いたもの)を混合させたものに、麹菌をつけて醗酵させる。「旨味のポイントは、麹が塩に出会う前に、いかに充分に微生物の関与を受けたか」だといわれる。(写真上は、大豆だけで作る『バラ麹』。表面に花が咲いたようになる。)

「量は作らないが、いろんな種類を揃えている。みんな麹の作り方が違うので、とても難しい。」といわれる。
「紫歌仙」(濃口醤油)。年に1度、桶1本分しか仕込まない。「紫大尽」(薄口醤油。写真下)。淡い色合いに仕上がるように醗酵・熟成させ、仕上げに奥行きを持たせている。
「甘露醤油」(再仕込み醤油)。「笹の露」(白醤油)。
これ等の製品は、洞爺湖サミットに使われた。豪華客船「飛鳥」や著名な料亭にも採用されている。宣伝をしているわけではなさそうだが、確かな味を知る料理人はこれを選ぶ。
原料の大豆は「ツブホマレ」「ギンレイ」「タチナガハ」などの国産をブレンドして使う。小麦は松本産の「シラネ」塩は沖縄産の「シママース」。
大口に出荷した醤油瓶はすべて回収し、再利用している。熱き心が伝わってくる。
「いいものほど味はシンプルなんだ。物づくりには玉虫色の決着はない。いいか、悪いかだ。」ときっぱりと言われた。
