2006年06月06日
雪を抱いた北岳と南アルプスを遠望にして、たんぽぽが咲く伊那谷の田んぼをのんびりと走るのが飯田線である。一人静、クマガイソウ--のびのびと育つ野草を眺め、水の流れを
聴き、爽やかな風を感じると、いつのまにか自分を発見する。明るいガーデンにたたずむ
初老の旅人がベンチに座っていつまでも木々を眺めている。
こんな風景を描くのが安野光雄さんである。安野光雄の世界は、明日香の田舎を美しいと思う遺伝子的感性を子供のころから受けついできたものに想像力と創造力を加えたイマジネーションが描くという。三椏を描く、こぶしを描く、ためつすがめつ 見る。「和の心、日本の美しさ」は、太古より自然の中で育まれてきたもので、機械文明ではない。
京都法然院の椿は紅白斑入りが美しい。しかし絵に描いてみると野に咲く藪椿の方が
はるかに美しい。カタクリ、アツモリ草、クマガイ草、一人静--野草は一見貧相だが、
絵に描くと断然美しい。こういう安野光雄の風景を見ていると、飯田線で時を忘れた
のんびり旅を思い出す。
hanaoka
